アプライエンスメイク

特殊メイクの代表的な技術にアプライエンスメイクというのがあります。立体的に造型された人工皮膚(アプライエンス)を役者さんの皮膚に接着して顔や体の形自体を変えてしまうメイキャップ技術です。人工皮膚が役者さんの皮膚に密着して動くので、役者さんの表情の変化を実際には存在しないキャラクターで表現できるというわけで す。老人の皺をアプライエンスでつくる老人メイクはもちろん、架空のキャラクターや生物に本物の人間のような表情の変化や生命感を与えることのできるアプライエンスメイクは、やはり特殊メイクのなかでは一番面白い部分の一つでしょう。この三次元の立体メイクは、色彩のみで行う本来のメイキャップと比べ、無限の表現の可能性を持っていると思います。そこで必要となるのがアプライエンスのデザインのセンスとそれを形にする造型力、アプライエンスに使われる素材に対する知識と言ったところだと思います。
では アプライエンスの製作行程をざっと説明していきましよう。
まづ アプライエンスを役者さんの顔にフィットさせるように作るために役者さんの顔型(ライフマスクと言います)をとります。型取りのため顔に塗り付ける素材はアルジネイトと言って、歯医者さんが歯を型取る時に使う物と同じです。ですから皮膚に対しても安全で、はなの穴を開けているので呼吸もしっかりできます。 そうして出来た顔型の上に目的とするデザインにそって彫刻をしていきます。この粘土彫刻の部分が後に人工皮膚素材に置き換わってアプライエンスえとなります。つまり粘土彫刻はメイクの出来を決定付ける重要な作業なのです。彫刻完成後更にそれを型取ります。型取った粘土を取り除くと役者さんの顔型と合わせて2つの型が出来ます。それをあわせてその2つの型の隙間(粘土分の隙間)に皮膚素材を流し込んでアプライエンスが出来上がります。出来たプライエンスにある程度着色を施してから、皮膚用の接着剤で役者さんの顔に張り付けます。アプライエンスがズレないように少しづつ慎重に張っていくので、顔全体のメイクで、簡単なものでも2時間以上はかかってしまいます。役者さんはその間じっとしていなくてはいけないのです。張り終えたら更に着色して皮膚とアプライエンスを馴染ませメイクを仕上げます。きれいに馴染ませないと張った所がばれてしまいますからここも慎重に行わなければいけません。
なんとなく分かって頂けましたか?実際にはもっと細かな行程が有り、とてもたいへんな作業です。